繊細な皮膚

綺麗なものを綺麗と認識できない現代人が多くいることに危機感を感じていた。ダンスの種類もSNSの普及により短い時間で見ることができる消費されるダンスが好まれる。

「この世界において、退屈でないものには人はすぐに飽きるし、飽きないものはだいたいにおいて退屈なものだ。僕の人生には退屈する余裕はあっても、飽きているような余裕はない。たいていの人はその二つを区別することができない。」(村上春樹『海辺のカフカ』上より)

目先にある退屈でないものに食らいつくが、すぐに飽きて忘れ去られていく。綺麗なものだけを並べて、醜いものを排除する。退屈なものにじっくりと時間をかけること。自然を眺めたり、風を肌で感じたり、今日がどんな表情を含んだ空気か味わうことを、体の奥底の見えないところにしまい込んでしまった。人間が創造した建築物を並べた世界で生きていて、地球という星に人間という生物がほかの生き物と同じように生息していることを、当たり前のことを忘却してしまった。

あるいは日々人間が作り出したシステム、物質、建物、社会にもまれて生きるしかない私たちだが、忘れてしまった、あるいは閉ざされてしまった、人間が生まれ持っている無垢でピュアな感性を思い出すことになるのかもしれない。限定的な固定概念に苛まれた美のみを選りすぐるのではなく、混沌の中から美を見つける探求心や好奇心を伸ばしていく。その感覚はあなたの人生を豊かにする。

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